成分×美肌の学び
美容成分と美肌のしくみ|エステ向け成分アカデミー
第7回 店販への苦手意識を卒業~ホームケアを「誠実なギフト」に変える提案術
エステティシャンとして独立し、お客様と一対一で向き合う時間は、何にも代えがたい幸せなひとときです。
しかし、その親密さゆえに多くのオーナー様、エステティシャンの方々が密かに抱えているお悩み…それは「店販(ホームケア商品)
」への苦手意識ではないでしょうか。
かつて大手サロンに身を置いていた頃、常に売上目標という数字に追われていました。
「このお客様にこの商品は本当に必要だろうか?」という疑問を抱えながら、リラクゼーションを妨げることを承知で施術中に商品のアプローチをする…
それは、施術者としての私にとっても、決して心地良い時間ではありませんでした。
個人サロンになった今、お客様との距離はさらに近くなります。「無理なクロージングでお客様を窮屈にさせたくない」「施術で得た安らぎを営業活動で台無しにしたくない」そんな戸惑いを、私もずっと抱えてきました。
信頼してくださるからこそ、気になること
一対一の静かな空間だからこそ、お客様には心からリラックスして過ごしていただきたい。その想いがあるからこそ、今でも無理にお勧めすることはしたくありません。
けれど一人でサロンを営むようになり、お客様と長くお付き合いさせていただく中で、以前とは違う感覚が芽生えてきました。
大手サロンにいた頃は組織の一員でしたが、今は最初から最後まで私が担当です。次回お会いする時も、その次も私がお肌を見せていただきます。何よりお客様は私を信頼して、大切なお肌を任せてくださっています。その信頼を感じるからこそ、サロンに来られない間のお肌の状態がとても気になるのです。
「施術で引き出したお肌の輝きを、ずっと維持していただきたい」「次回はさらに良い状態で、より深いケアをさせていただきたい」そんな風に願う時、店販商品は私の代わりにお客様のお肌を支えてくれる「助け」になってくれます。
「この商品はお客様のお肌に必要だ」と自信を持ってお勧めすることは、サロンでの仕上がりをキープし、次回の施術の効果がさらに上がるように、底上げしておいてくれる「信頼できるパートナー」をお渡しすること。
そんな風に考えられるようになってから、伝えることへの心のハードルが少しずつ下がっていきました。
お客様の関心に寄り添う、さりげない仕組みづくり
言葉で熱心に説明しなくても、お客様の方から「これはどうゆうもの?」と自然に興味を持っていただけるようなきっかけをサロンの中に散りばめています。
≪視線が自然と向くディスプレイやポップ≫
季節に合わせたディスプレイや手作りのポップやポスターを、目に留まりやすい場所に配置します。
お客様がお一人で座って眺められる目線(施術後のお茶を飲まれる空間やレストルームなど)に配置する。
また、「今月のピックアップ商品」として
ひとつのアイテムにスポットを当て紹介するコーナーを設けるなど、無理なく視界に入る工夫を心掛けています。
≪施術を通じた「肌での実感」≫
ご紹介したい商品を施術の中で実際に使い、香りや仕上がりをお肌で直接確かめていただきます。
例えば、ファーマストリーシリーズを使用した、敏感肌の方にも安心感を与えるような「オーガニックフェイシャル」やキレイシリーズで、ヒト幹細胞培養液などのトレンドワードを入れた「ヒト幹細胞フェイシャル」などの新しいメニューを作る。
単なるテスターで試すのとは違い、プロの施術を通してお顔全体でその力を感じていただくことが、何より納得感につながると考えています。多くの言葉を尽くすよりも、翌朝の肌の状態でお客様自身が効果を実感してくださるのが一番です。
≪データに基づいた個別のアドバイス≫
会話の中やアンケート用紙などを活用し、お客様が今、どのようなスキンケアを使い、お肌にどんな期待を寄せているのか、ご予算なども含め細かなお声を大切に集めています。
まずは今お使いのものを否定せず、その商品をより活かすための基礎的な使い方などをアドバイスさせていただきます。こうした丁寧なやり取りを重ねるうちに、お客様の方から「次はお勧めの商品を使ってみたい」と、自然に気持ちが動いてくださることも少なくありません。
≪「余白」を大切にする距離感≫
「気になったらお声を掛けて下さいね」と添えるだけに止めておきます。お客様がご自身のペースで判断できる余白を大切にすること。
あえて一歩引いて見守ることが、反対に興味を引き出しお客様から歩み寄ってくださることもあります。
お一人お一人の「なりたい姿」に、心地よい距離感を大切に伴走していく。
これが、私の考える誠実な提案の形です。
会えない時間もお客様を守る「誠実なギフト」
私は決して人より話が上手なわけでも、巧みなセールストークができるタイプでもありません。けれど、そんな私の背中をそっと押してくれるのは、お客様のお声とお肌の確かな変化です。
商品を気に入っていただき、「これを使うようになって、さらに肌の調子が良くなったよ」「私に合っているみたい」と笑顔で報告してくださったとき。
次のご来店のとき、前回よりもお肌のコンディションが良くなっているとき。
「自信を持ってお勧めして本当に良かった」と、心の底から安堵し嬉しい気持ちがこみ上げてきます。
お客様がご自宅で商品をお使いいただく時間は、サロンを思い出してくださる時間でもあります。
店販は単にモノを売ることではありません。
あなたがそばにいられない間も、お客様の日常を守り、サロンとの絆を深め、未来の美しさを育む「誠実なギフト」なのです。
